恵みのしずく(9) 「藤崎先生ご夫妻と聖望キリスト教会」
前回の「恵みのしずく」(8)で、1987年5月15日(金)から始まった藤崎先生と「市川家庭集会」との関係が、1996年4月まで約10年間続いたことは、すでに記しました。
次は、先生ご夫妻と聖望キリスト教会との関わりについて、振り返ってみます。それは、信先生との交わりだけでなく、奥様の一枝姉妹が加わった、さらに密なる主にある交わりとなっていったのです。
藤崎信牧師が、開拓伝道から43年にわたり関わってきた「日立教会」(日本基督教団)を自ら退任されたのは、1996年3月末でした。先生いまだ69歳の時でした。別に定年で退いた訳ではなく、一枝姉妹の心臓の状態が「これ以上は無理」と判断しての先生の決断でした。一枝姉妹にとって、すべての教会業務からの解放が“緊急事”だったのです。
しかし、4月からの住居も定まっていなかったそうです。結局、海外に赴任する教会員が心配してくれて、96年4月から3年間、その信徒の留守宅に住まわせてもらうことに・・・。
そんな中、同じ年の96年8月から、家の教会「聖望キリスト教会」がスタートし、日立教会以後の進路が決まっていなかった先生に、9月から月一度の主日礼拝のご用をお願いし、快諾を得ました。
以後、藤崎先生は月に一度、日立から決まって土曜の夕方にわが家に来られ、お泊まりして翌朝の礼拝を迎えるのが常でした。体調を回復した一枝姉妹は、翌年の97年の4月から聖望教会の礼拝にも参加してくれるようになりました。しかし、一枝さんに「どうぞ先生とご一緒にいらして、お泊まり下さい」と何度もお願いしたのですが、「私はご用をする者ではありませんから、余計なご面倒はかけられません」と言って、頑として聞いて頂けませんでした。
そして、いつも日曜日の朝早く、日立からお一人で電車に乗られていらっしゃるのでした。まさに、“牧師の妻の鑑(かがみ)”のようなお方でした。
そして、3年後の1999年からは、埼玉県加須(かぞ)の「愛泉苑」で働かれている次男の悦児さんの新築の家に移られました。それ以後は、第1主日の「聖望キリスト教会」の他に、第2主日は「久美愛教会」、第3主日は「愛泉苑」、第4主日は「シャロンのバラ伝道所」と次々に頼まれてご用をするようになり、一枝姉妹もすべてのところにご一緒されていたようです。
先生ご夫妻にとって、40数年の牧会生活から解放されて、ある意味で気楽な、最も落ち着いた、平安に満ちた“第二の人生”だったのではないでしょうか…。
先生ご夫妻とは、単に月1回の第1主日のおつき合いだけでなく、その後の内外の旅行にもご一緒することが出来ました。特に、1997年3月16日(日)~20日(木)の「シンガポール・ツアー」にもご夫妻で参加してくれました。私の娘・志保子が前年から通い始めた「DTC神学校」での礼拝と交わりは、「私たちはキリストにあって一つである」ことを実感させてくれました。
この礼拝後、各国から学びに来ている神学生たちの部屋を見せてもらい、志保子の部屋に来ました。韓国の李(り)姉妹と一緒の部屋で、2つのベッドと勉強机でもう一杯の本当に小さな狭い部屋でした。
この時、私のすぐそばにいた一枝姉妹が「るっちゃんもマニラでこんなふうに勉強してたのね」と呟いた声が忘れられません。この旅行以来、一枝さんは、私の末娘の志保子に、先に24歳の若さで召されたお嬢さんのるつ記さんを重ねて下さってか、この娘のために以後、特に祈り、励まし続けてくれました。
次に、志保子がカナダのバンクーバーにある「リージェント神学大学院」に移ると、そこにも先生共々、会いに行ってくれました。
その旅は、1999年6月6日(日)夜から12日(土)まで、先生ご夫妻をはじめとする一行23名の大部隊で、バンフーやコロンビア氷河など、行く先々で天候にも恵まれ、創造主の素晴らしいみ業を堪能できました。
バンクーバーに戻ってからは、志保子神学生の案内で「リージェント」を訪問し、その奉仕教会である「日系聖十字聖公会」(ドーン司祭)との交わりの夕べも祝福でした。
実は、この旅行にはもう一つ大きな目的がありました。それは、ドーン司祭の勧めでその教会に通って来ていたカナダ人青年との付き合いが始まっており、その彼を両親はもちろん、藤崎先生ご夫妻をはじめ教会の方々にも見てもらい、その是非を判断する“チェック・ツアー”でもあったのです。そして、1週間近く行動を共にしたその青年の優しさ、人柄のよさ、日本人が忘れてしまったような奥床しさに、一人の反対者もなく、全員が「合格!」を出してくれました。その彼こそが、今の志保子司祭のハズバンドの、ケニス=コール・ウォーレン(通称ケンさん)であります。
また国内では、夏に恒例のように信州・伊那の涼しい網野洋子姉妹のお宅で、何日間かを過ごされるのを楽しみにされていました。
こうして公私共に、藤崎信・一枝先生ご夫妻と聖望キリスト教会との主にある交わりは、さらに深まっていきます。
以下に1996年9月から2015年3月まで続いた先生の「講解説教」の聖書箇所を記します。旧約と新約を交互にした先生独自の講解説教によって、私たちはどれほど養われ、信仰の成長を促されたか知れません。
また、その合い間と最後の「ダニエル書」以後の、ある聖句からの「主題説教」も“藤崎節”に満ち満ちたもので、聞き終わると何か“ゆったり感”というか、“インマヌエル”(「神われらと共にあり」の意)の思いを強くさせられるのです。
〈藤崎 信牧師の「講解説教」〉
- 「エレミヤ書」(52章)=1996年9月8日~2001年3月4日(4年7ヵ月)
- 「ヨハネの福音書」(21章)=2001年7月1日~2004年4月4日(2年10ヵ月)
- 「ホセア書」(14章)=2004年6月6日~2005年7月3日(1年2ヵ月)
- 「エペソ人への手紙」(6章)=2005年9月4日~2006年9月3日(1年1ヵ月)
- 「イザヤ書」(66章)=2006年10月1日~2012年5月6日(5年8ヵ月)
- 「ヨハネの黙示録」(22章)2012年6月3日~2014年3月2日(1年10ヵ月)
- 「ダニエル書」(12章)=2014年4月6日~2015年3月1日(1年)
(2018年10月17日(水)記 代表:大竹堅固)